上腕骨近位端骨折のレントゲン画像を人工知能が解析し、
「その骨折型からどの術式がのぞましいか」
を提案するシステムを開発しました。
ここは一見のどかな風景ですが、
こうした場所にはかならず、医療過疎が存在します。
医師が不足している・・・
専門医がいない・・・・
医療過疎地で整形外科医がいなくても、
骨折は起こり、ときどき病院に運ばれてきます。
このとき、専門医がいなくても、診断と治療をおこなわなければなりません。
患者は待ってくれないのです。
そこで、こうした医療過疎地で働く
総合診療医や救急医のために、
上腕骨近位端骨折について、
骨折の有無を判定し、
その術式などを提案してくれる
システムを人工知能で作成しました。
整形外科専門病院の電子カルテから
肩のレントゲン写真1099枚を収集し、
その画像において、
骨折の有無、
治療方針、
治療予後
などの情報を収集し、
以下の4つのフォルダに分類しました。
分類は経験20年目以上の
肩関節学会所属の専門医が行いました。
つぎに、人工知能(convolutional neural network)
を用いて、深層学習を行いました。
学習回数は10万回行いましたが、
学習にかかった時間はたったの10時間でした。
さらにこのモデルを現場で使いやすくするために、アプリケーション化を行いました。
プロットフォームはヘロクを用いて、ラインと連携するのにメッセージングAPIを用いて、データベースにはアマゾンエススリーを用いました。
また推論モデルの作成には、ラベリオを用いました。
さて、今回開発したアプリケーションの活用風景を
提示します。
今回のアプリは、病院での使用を考えており、
特に医療過疎地や救急医療現場で、
肩関節専門の整形外科医が不在な場所での使用が
望ましいと思われます。
まず、LINEとたちあげ、QRコードを読み込んで
お友達追加をします。
これで登録は完了です。
つぎに、上腕骨近位端骨折のレントゲン写真をスマホに取り込み、その写真を転送します。
注意:画像がゆがんだり、反射光などのノイズが入ると診断精度が下がります。
写真を転送してから、10数秒後に、
人工知能からの解析結果が届きます。
左の写真の場合、
手術なしが、6%
髄内釘固定が、0%
プレート固定が、2%
人工骨頭置換術が、93%
と人工骨頭置換術を推奨しています。
これをもとに、適切な医療機関を紹介できます。
現時点のこのアプリの的中精度は94%ほどです。
なので、絶対ではありません。
さらに、人工知能の精度を上げたいと考えていますが、
そのためには、もっとデータを集めなければなりません。
このアプリは使用するたびに、フィードバックボタンがでてきます。フィードバックボタンを押すと、今回の写真と診断情報が我々のデータベースに自動保存されます。
今回の診断が妥当であったかを再度検証することができます。
実際にご使用いただいてフィードバックされた情報は
AmazonS3の我々のデータベースに保存され、
この集積されたデータを人工知能に再学習させます。
すると人工知能の精度はさらに上がることになります。
人工知能が再学習することで、精度があがり、
精度があがると、ユーザー数が増えます。
ユーザー数が増えると、データ量が増え、
この集積データを、人工知能が再学習すると
さらに精度があがります。
このサイクルを繰り返すことで、
人工知能は進化しつづけることになります。
以上、
上腕骨近位端骨折のレントゲン画像を人工知能が解析し、
「その骨折型からどの術式がのぞましいか」
を提案するシステムを開発しました。